1994年度大学入試センター 第4問

訳例(直訳)

以前、精神学者はいつも私たちは問題を全く最後まで議論しなければならない、と言った。しかし私はそれ以上に私たちはお互いに外に出るために、議論だけでなく、寛容と沈黙がより必要であるような印象がより勝っている。
もちろん人は決まった瞬間に黙るべきではない。ーー人が正しくないことに立ち向かうときや友達を慰めるとき、誤解を取り除くとき。そのような瞬間、私たちは何か言う;ただそれは正しい言葉を見つけることにかかっている。
しかし毎日の生活の中にはよく失敗があり、その中で沈黙は会話の進行に( 35 )の影響を及ぼす。それから沈黙した注意深い聞き手は話し手を静かにさせる。これは軽く呼吸をして、脈ゆっくりになる。話し相手が注意深く聞くと、それで話し手が彼を快適に感じる。
この関係の中で、私たちは忘れもする:会話だけではなく、沈黙もまた大きな印象を与えることが出来る。作曲家が音の間の休止が音自身と同じくらいに重いこ とを知っているように、私たちは私たちの沈黙が私たちの言葉( a )( b )効果があることをはっきりと知っている。これは母親の彼女の8歳の息子の就寝という毎日の問題が沈黙と寛容によって解決されることからも明かになる。
ある夜クラウスが来た、( 40 )彼はまるで通例の繰り返しで居間戻るように、ベッドに持っていかれた。
「お母さん、私は眠ることが出来ません」彼は言った
「ああ、君は眠ることが出来ないと思っていますね?」母親が言った。
この時彼女は長く話さず、彼に完全に理解したことを見せて待った。ある完全な瞬間は、一つの言葉なしで進む。
結局クラウスは沈黙を折った。「私はベッドに熊を取っていきます。彼は言った。「それで私はもっとよく眠る」そして彼はすでに見えなくなった。
沈黙は人が同じ価値であることを意味しない。それは明かにする:私はそこであなたのためにあるが、( 44 )。

訳例(意訳)

昔の心理学者いつも「我々は問題を最後まで議論しあうべきである」と言ってきた。しかし私には議論だけではなく、寛容の心と沈黙もまた、両者が了解を得るための効果を持つように思える。
もちろん沈黙が好ましくないこともある。例えば、不正に立ち向かおうとするときや、友人の慰めるとき、誤解を解くときがそうだ。この様な時に、私たちは何らかの言葉を口にしなければいけない。ただしその場合、適切な言葉を見つけることが大切である。
しかし毎日の生活の中には、沈黙が会話の進行を積極的にするような場合がしばしばある。そのような場合、耳を傾けて口を挟まない視聴者は、話者を落ち着か せる。また視聴者の呼吸を軽くして、脈を整える働きもする。相手が注意深く話を聞いていれば、話し手はそういう聞き手をより好ましく思う。
この関係の中で私たちは「会話だけでなく、沈黙もまた大きな影響を与えることができる」ということを忘れるべきではない。作曲家が演奏の中の休止がメロ ディーと同じほどに重要なものであることを知っているように、私たちも沈黙が言葉と同じほどに効果のあるものであることを明確にしていなければならない。 これは、毎日の八歳の息子の睡眠という問題が沈黙と寛容の心によって解決した母親の事例からも明らかである。
ある夜、クラウスがベットに入った後に、いつものように再び居間に戻ってきた。
「お母さん、僕はまだ眠れないよ!」と彼は言った。
母親は「え、眠れないと言いたいの?」と答えた。
この時彼女はしばらくの間話すのをやめて、全て理解したように彼を見つめて反応を待った。
一分間ずっと、一言もなく過ぎた。
ついにクラウスは口を開いた。「ベットに熊を連れていくよ」彼は言った。「それならよく眠れる」そして彼は部屋を出て行った。
沈黙は無関心を意味するのではない。自分で決定をさせるこを意味するのだ。

解説

問1 1 お互いに理解しあうためには
文意から内容に一致する選択肢を選ぶ。um + zu不定詞で「~するために」、miteinanderは「お互いに」、auskommenは「外に出る」の3つの要素からなり、「お互いに外に出るため には」となるが、もちろんこれは文意に合わない。文意は「『お互いに外に出るためには』、議論だけではなく、沈黙と寛容の心も大きな影響を持つ」という意 味になる。前文の流れから「問題を最後まで議論すべき」という言葉に対する提言なので、「外に出る」ということはふさわしくない。問題を最後まで議論して 得るものは「理解」であるが、それを得るためには沈黙と寛容も有効というのが筆者の提言になる。従ってauskommenは「理解を得る」という意味にな り、「お互いに理解しあうためには」が解答になる。

問2 2 ただしその場合、適切な言葉を見つけることが大切である。
下線部の訳としてふさわしいものを選ぶ。直訳すれば「ただしそれは正しい言葉を見つけた上で手に入る」というものになる。これと近い意味に取れるのは2のみ。

問3 3 einen positiven
空所補充問題。空所は副文の中にある。副文の主語はdas Schweigen、動詞はausübtであることから、空所直後のEinflußは目的語であることが分かる。従って、空所にはいるのはEinfluß を修飾する形容詞となる。あとはどの選択肢の形容詞が適切な影響(Einfluß)となるかを文意から推測する。ポイントは主文にある「jedoch」。 jedochの逆説の意味で、この文はそれまでの文の流れと反対の意味を持つことになることになる。直前の段落では「確かに発言をしなければいけないこと はある」という意味になっており、ここで「しかし」と続いて沈黙の意味になるので、「しかし沈黙も必要なことがある」と、沈黙を肯定する文意になる。 Einflußと結びついて肯定的な影響になるのは3のeinen positivenのみ。

問4 4 相手が注意深く話を聞いていれば、話し手はそういう聞き手を好ましく思う。
微妙な問題。下線部の直訳から意訳となる選択肢を選ぶことになるよくあるタイプの問題なのだが、選択肢が微妙に選びにくいものになっている。直訳は「話し相手が注意深く話を聞くと、話し手はより快く感じる」となる。ここから1と3を外すことは出来る。問題は2と4。どちらも話し手はangenehmerになっている。2は話すこと自体がangenehmer、4は話す対象がangenehmerとなり、本文の流れから2を選びたくなってくる。しかし2は「相手が注意深く話を聞いているあいだ」と、時を限定している。この副文は動詞で始まり、主文をsoで引っ張る条件節。従って副文は「~のあいだ」と訳すことは出来ず、「~であれば」という条件にしか訳せない。従って正解は4となる。4の主文訳が意地悪なので、2を選んでしまいたくなる。

問5 4 müssen wir richtig erkennen
下線部の直訳から解釈可能な選択肢を選ぶ。直訳は簡単で「私たちはそのことについて明確でなければならない」という意味になる。ここから解釈可能なのは4で「私たちは正しく知らなければならない」となる。1と3は意味が完全に異なるが、2のerklärenは「明かにする」という意味なので、「私たちは緻密に明らかにしなければならない」と訳して正解になりそうなところだが、erklärenは正確には「説明する」という意味に近く、誰かに対して何かを明かにするときに用いる。従って自分で納得する今回のようなケースには用いられない。

問6 1 ebenso - wie
全体的な文の流れから判断して適切な選択肢を選ぶ。文全体の構成は「~であるように、・・・である」という対比の構文になっていることから、空所を埋める ことで対比されている内容と同じ意味を持つようにすればいい。従って文の意味は「作曲家は休止が音と同様に重要なことを知っているように、私たちは沈黙が 言葉と同様に重要なことを知る」となる。この内容に合致するのはebenso-wieの組み合わせ。

問7 1 Sie hatte Problem, weil ihr Sohn, der acht Jahre alt war, nicht gut schlafen konnte.
1. 彼女は八歳の息子がよく眠ることができないので、問題を抱えていた。
2. 彼女は息子が絶え間なく睡眠の邪魔をするので、八年間問題を抱えていた。
3. 彼女は八年前、彼女が息子と離れるまで、睡眠に問題を抱えていた。
4. 彼女は八歳になる息子が側にいてくれないので、いつも睡眠に問題を抱えていた。
ドイツ語が読めれば分かる問題。

問8 4 nachdem
直訳泣かせの問題。簡単なくせに空所が埋まらなければ訳を作ることが 出来ない。本文をいくら読んでも空所に入る言葉を推測することは難しい。素直に選択肢を見て、それぞれの内容を検討する。a. aberの場合は「ある夜クラウスが来たが、いつも居間に戻ってくるように、ベットに連れていかれた」、b. damitの場合は「ある夜クラウスが来たことによって、いつも部屋に戻ってくるように、彼はベットに連れていかれた」c. seitdemの場合は「ある夜クラウスが来て、それ以来いつも部屋に戻ってくるように、彼はベットに連れていかれた」という意味になる。どれも意味不 明。

問9 3 一言も言葉が交わされずに、まる一分が過ぎた。
特にひねりはない。直訳だけで十分な問題。

問10 2 Schließlich fing Klaus an zu sprechen.
下線部の意味を意訳して、それと同じ解釈が可能な選択肢を選ぶ。下線部の直訳は「結局クラウスは沈黙を折った」となる。これを前後の文脈も含めて解釈して、適切なものを考える。選択肢の訳は以下。
1. 結局クラウスは泣き出した。
2. 結局クラウスは話し始めた。
3. 結局クラウスは寝るのを忘れた。
4. 結局クラウスは沈黙を試みた。
これらのドイツ語が全て読めるなら正解を選ぶのは難しくはないはず。ドイツ語が読めたのに正解を間違えたとなると、日本語力の問題と思われる。

問11 3 Und schon ging er aus dem Wohnzimmer.
問10と同様に下線部の意訳と同義の選択肢を選ぶ。下線部の直訳は「彼はすでに消えていた」となる。これを前後の文脈も含めて意訳する。
1. そして彼はすでに完全に静かに眠った。
2. そして彼はすでにもう一言も話さなかった。
3. そして彼はすでに居間から出て行った。
4. そして彼は既に熊を手に取った。
この問題は少し複雑。判断基準は直訳の「彼が消える」にある。3のみは「彼が居間から消える」解釈できるが、その他の選択肢は「彼が消えた」という直訳から解釈することが出来ない。従って正解は3となる。

問12 2 ich lasse dich selbst einscheiden
最終文の空白に適切な句を入れる。全体の文意を把握して、それに把握しない選択肢を選ぶ。従って文全体の意味を把握していなければならない。良問。
1. 私はあなたを理解できない。
2. 私はあなた自身に決断させる。
3. 私はあなたの言うことをこれ以上聞かない。
4. 私はこれ以上どんな言葉も信じない。
かなり難しい。文の総意は「沈黙も会話をスムーズにするためには大きな役割を持つ」ということであり、その例として母親と子供のやりとりが記されている。これらの文の流れから1、3、4は会話をスムーズにさせるようなものではなく、また母親が子供が沈黙によって意図した内容とも異なる。よって正解は2となる。

問13 3, 4

内容一致問題。本文の意味が把握できているかどうかが勝負。ドイツ語が読めれば問題ない。間違えたならドイツ語が読めていないというだけ。何度も長文を読んで、一単語の不明点もない点にしあげ、その上で何度も読み返してドイツ語力を高めよう。

単語・熟語

  • gewinnen [他] (h) (勝負などに)勝つ
  • Toleranz [女] -/-en (単数で)寛容
  • Schweigen [中] -s/ 沈黙
  • Unrecht [中] -[e]s/ 正しくない<間違った>こと
  • entgegentreten [自] (s) (jm.)(・・・に)立ち向かう
  • trösten [他] (h) (jn.)慰める
  • beseitigen [他] (h) (et.⁴) 取り除く
  • auf et.⁴ ankommen (・・・に)かかっている
  • Einfluß [男] ..flusses/..flüsse 影響
  • ausüben [他] (h) (行為を)行う
  • atmen (h) 呼吸する
  • Puls [男] -es/-e 脈
  • empfinden [他] (h) (肉体的・精神的に)感じる
  • Konmponist [男] -en/-en 作曲家
  • wirkungsvoll [形] 効果の著しい
  • üblich: 通例の
  • Bär [男] -en/-en 熊