1992年度 大学入試センター第4問

訳例(直訳)

ペーターが母親と靴屋に行く。女の店員が来て言う。「私はどうやって貴方に役立てますか?」
「私の息子は新しい靴の一組を持つべきです。サイズは34」
「茶色か黒?」
「黒」母親が言った。
「それでは貴方は場所を取っていてください」
ペーターは茶色い靴の方にしたかった。彼は思う。「私はとにかく、( a )靴が私にきつすぎると言う」彼は母親と並んで椅子に座り、見回す。覆いの下まで靴の箱が届いていた。女の店員が3つの靴の箱を下に降ろして持ってくる。
低い椅子の上に彼女はペーターの前に座り、彼に右の靴を脱がせる。彼は自分がどれだけか大きい男の人かと思う。そこで彼はそれまで奉仕されていなかった。( 35 )そこで彼は彼の大きな足の指が靴下から好奇心を持ってのぞいていることを発見する。彼は少し恥ずかしい。しかし彼はこれを母親にずっと前からすでに言うことが出来たのに!
女の店員は靴を彼に履かせた。
「それでは、さぁちょっと散歩しなさい!」彼女は言う。
ペーターは前へ後ろへ赤い絨毯の上で行進する。
「私はこの靴が私を押すと信じます」
実際には彼はまったく押していない。ペーターはそれらを母親に( b )靴を買いたい。
「ちょっとこちらに来なさい彼がどこを押しているか私たちが見る!」女の店員は言う。
ペーターは小さなテーブルの上に足を置き、そして女の店員が手で感じて言う。「今ちょっと足の指を動かしなさい!しかし靴は君を押していない!」
ペーターは女の店員がそれを見つけ出すことに驚かされた。今彼は靴屋にいる人がうそをつくことが出来ないことを知っている。
「私たちはそれを取ります」と母親が言う。
「私たちは再びそれらを脱がせますか?」女の店員が聞く。
「いいえ、貴方は私にまだ別のものも履かせて、貴方は古い靴を包んでください!」
堂々とペーターは椅子に再び座り、彼に奉仕させる。左の長靴下の中に彼は穴を持たない。
「貴方はレジで支払いをしてください!」
70マルクをレジは伝えた。レジの女の子が言う。「ええと、若い男性、私は君にまだ靴墨を贈ります。これによって君
は君に靴をいつも綺麗で清潔に磨かせます」
「ありがとう!また会いましょう!」
ペーターは店から母親と一緒に( 44 )行く。

訳例(意訳)

ペーターは母親と一緒に靴屋に入った。すると店員が来て「いかがしましたでしょうか」と言った。
「私の子供に新しい靴を買いたいんです。サイズは34」
「茶色と黒、どちらがよろしいですか?」
「黒」と母親は言った。
「ここで少しお待ちください」
ペーターは本当は茶色の靴にしたかった。彼は思った。「とりあえず黒い靴は私にはきついようだと言うことにしよう」彼は母親の隣の椅子に座り、辺りを見回した。靴の箱が天井まで積まれていた。店員はそこから3つの靴の箱を持ってきた。
店員はペーターの前で低い椅子に座って彼の右の靴を脱がせた。彼は自分がもう十分大きな男性だと思った。彼はそれまでサービスをされたことがなかった。しかしそこで彼は大きな足の指が靴下から顔を出していることに気がついた。彼はそのことを一瞬だけ恥ずかしがった。しかし彼はそのことをあらかじめ母親に言っておくことが出来たのだ!
店員が彼に片方の靴を履かせた。
「それで少しだけ歩いて見てください!」と店員は言った。
ペーターは絨毯の上で前へ後へと行進して見せた。
「靴が私の足を締め付けているように思います」
実際にはまったく締め付けられてなどいなかった。ペーターはただ母親に茶色い靴を買わせたかったのだ。
「ちょっと来てください。どこが締め付けているのか見てみましょう」と店員は言った。
ペーターは小さな台の上に足を置き、店員は手でそれを触りながら確かめた。「またちょっと靴を動かして見てください。靴がきついことはないでしょう」
ペーターは店員がそれを見抜いたことに驚いた。ここで彼は靴屋で人は嘘をつけないことを知ったのだ。
「ではそれにしましょう」と母親が言った。
「もう片方の靴もお取り外ししましょうか?」と店員は尋ねた。
「いや貴方は別のものを私に履かせて、古い靴を包んでください」
ペーターは再び堂々と椅子に座り、自分で作業を行った。そこで彼は左の靴下の穴を隠した。
「レジでお支払いをお願いします」
70マルクを求められた。レジの女の子が言った。「ああ、若いお兄さん、こちらの靴クリームもお受け取りください。これでいつも靴を綺麗で清潔に磨くことが出来ますよ」
「ありがとうございます。またよろしくお願いします」
ペーターは新しい黒い靴を履いて、母親と一緒に靴屋を出て行った。

解説

問1 4 Kann ich Ihnen helfen?
意訳が役に立たないことを証明する良問。お店には行ってきたときに店員が言う言葉。日本語では「いらっしゃいませ」などとなる。もちろん「いらっしゃいませ」に相当するドイツ語はない。敢えて言うなら「Willkommen」というところだが、日本語にすれば「よく来たなー!」というニュアンスになり、店員がお客さんにそれを言うと殴られるかもしれない。逆に問題文になる「Womit kann ich Ihnen dienen?」に相当する言葉も日本語にはない。「私は貴方に何かご奉仕することが出来ましょうか?」と訳すことが出来るが、そんなことは怪しげなメイド喫茶の店員でも言わない。ただ、これがドイツの接客挨拶。というわけでこの不思議なメイド喫茶と同じ意味に解釈でき、且つ来客の応対としておかしくないものを選ぼう。
1. 貴方の調子はどうですか?
2. 心から歓迎します!
3. 貴方がここに来てくれるなんて、何て素晴らしいのでしょう!
4. 私は貴方を手伝うことは出来ますか?
1は会話がかみ合わない。2は上に書いた「よく来たなー!」を丁寧にしたもので、要するに日本語で解釈するなということ。3を靴屋の店員に言われても困る。つまり直訳と意味が似た4が正解となる。直訳は重要です。

問2 2 店員は上の方の靴箱を三つおろしてくる。
herunterholenという分離動詞が云々・・・・・・ではない。というか、herunterholenという単語を含む文章を問題文に出した試験作成者は正気ではない。確かにherunterholenで「上から下に持ってくる」となるが、そんなのholenとherunterで分かるだろう。知る必要はない。「前の文には靴箱が天井まで届いている」と様子が書かれている。要するに2が答え。何でherunterholenを問題に出すのが正気でないか、知りたかったら三個くらい辞書を開いてみれば一つは理由を書いたものがあると思う。ただ馬鹿馬鹿しいので調べる必要は全くない。知ってる人間からすれば「正気か!?」という話なだけ。

問3 4 彼は、自分が偉い人間にでもなったかのような気分である。
下線部の直訳から適切なニュアンスを掴み取る。分離動詞vorkommenはvor+kommenで前に来る、を意味する。ここではsichで再帰代名詞が来ており、またsichをwie以下で修飾している。つまり「wie以下の~である彼自身が前に来る」という意味になる。さらにwie以下が修飾するのは彼という人間となるため、「彼は自分がwie~な人間であるように思った」というニュアンスになる。1はsichが自分になっていない、2は歩くという行動にはならない、3はsichを靴にしているという点がそれぞれふさわしくない。正解は4。良問。

問4 3 Aber
文頭に置く語を選ぶ問題。1のSondernは前文との比較を必要とするが、ここではそれに当てはまらない。2のOderは意味上考えられない。4のdennは副詞で「そこで」という意味を持ち空所に当てはまるように見えるが、dennは文頭に用いられることはないという原則がある。よって正解は逆接のAber。

問5 3 daß sein Strumpf ein Loch hat
代名詞の意味を問う問題。代名詞は先行する語句の内容をさすことになる。ただしこの問題はそれだけでは終わらない。該当部分に当たる文が比喩表現になってり、それが何を意味しているのか把握できなくてはいけない。もちろん、それが把握できてはじめてそこが該当個所に当たると分かるのであり、ドイツ語を正確に把握する能力と、それを表現として理解できる能力が求められる。該当部分は... daß seine große Zene neugierig bedient worden.に当たる。直訳すれば「彼の大きな足の指が好奇心強くサービスを提供している」となる。彼が自分の靴を履き替えている時にこの文が出てくる。つまりこれは靴下に穴が空いているという状況であると解釈できる。ここまで来て始めてここが該当個所と分かる。この文意に等しいものを選択肢から選ぶ。
1. 彼の靴下が不潔であること
2. 母親が彼の靴下を清潔に洗っていること
3. 靴下が穴を持っていること
4. 母親が好奇心強く靴下を見ていること
直訳から解釈可能なのは3のみ。よって適切な解答は3となる。良問。

問6 2 der Schuh ist mir zu eng
下線部を直訳すれば「靴が私を押す」となる。もちろんこれは全体の文意と下線部の意味から判断する。ヒントは前半部分のIch sage einfach, die ( a ) Schuhe seien mir zng. にある。ペーターは「靴がきつい」と予め言おうと考えていた。「靴が私を押す」とはこの考えを実行したことにあたる。つまり「靴が私を押す」とは「靴がきつい」ということを意味する。正解は2。良問。

問7 4 In der Tat
単純な語彙問題。主要な単語・熟語の意味を分かっていれば解答が分かる。
wirklich: 現実の
Eile: 急ぎ
Regel: 規則
Nähe: 近く
Tat: 行い(in der Tat: 事実、本当に)

問8 4 schwarzen - braune
本文の流れから空所を補充する。特にひねりはない。ドイツ語が読めれば分かる。訳例を見ればそれが解説として充分だろう。

問9 3 Damit sie herausfinden kann, wo der Schuh Peter drückt.
本文の内容に一致するものを選ぶ。店員がなぜペーターの足を小さな台の上に乗せさせたか、という問題の答えは訳例を見れば推測がつく。問題はその推測に一致する解答を選ぶこと。だが正解の3をのぞいた解答は的外れで、そこまで考える必要もない。1と2はペーターが靴を押しているとしているので逆。4は悪くないが、店員は靴がペーターを押している理由を黙っていようとはしていない。解答は3しかない。

問10 1 daß der Schuh Petar paßt
代名詞の意味を問われている。店員が発見した「それ」が何かは訳例を見れば推測がつく。つまりドイツ語が読めれば分かる。一応選択肢を説明するなら2は見て分かるように逆。3と4を店員が理解したとするなら、この店員は恐ろしい洞察力ということになるが、そのようなことはなさそう。つまり解答は2。一応誤答も解説したが消去法にする必要は全くない。

問11 2 Weil  sich Peter schämte, daß sein rechter Strumpf ein Loch hatte.
ドイツ語が読めれば分かる問題。本文の訳例と以下の問題の訳例を参照。
質問: なぜペーターは右の靴を脱がずに左の靴を履いたのですか。
1. ペーターは黒い靴をとても気に入ったから。
2. ペーターは右の靴下に穴があるのが恥ずかしかったから。
3. ペーターはこれ以上子供扱いされたくなかったから。
4. 店員がペーターにそうするように説得したから。

問12 2 wird bedient
自身への使役を受動態に置き換える。lassen sich bedienen で「自分に奉仕させる(自分でする)」という意味になる。結局この直訳自体が使役でありながら受動態のようなもの。ただ受動態であればその対象は主語そのものになるのでsichは消滅する。よって und (Peter) wird bedient となる。

問13 4 in den neuen, schwarzen Schuhen
本文の意味を把握できていれば解ける。つまりドイツ語が読めれば分かる問題。

問14 3 Peter wünschte sich eigentlich braune Schuhe.: 4 Peter begriff, daß ihm das Lügen nichts nützte.
内容一致問題。本文と内容の一致する選択肢を選ぶ。つまり本文と選択肢の内容を把握できているかが問題であり、それだけが問題。ドイツ語が読めれば解ける。
1. ペーターは左の靴を自分で履いた。
2. 母が買った靴の価格は16マルクだった。
3. ペーターは本当は茶色い靴が欲しかった。
4. ペーターは嘘が役に立たないことを理解していた。
5. ペーターの古い右の靴には穴があった。
6. 店員は新しい靴を包んだ。

単語

  • einfach: (形)単一の、単の (副)まさに、あっさりとbedienen: 奉仕する、世話をやく
  • niedrig: 低い
  • jm. vorkommen: (・・・にとって・・・のように)思われる
  • neugierig: 好奇心の強い
  • Strumpf: 長靴下
  • marschieren: (隊列を組んで)行進する
  • drücken: 押す
  • bewegen: 動かす
  • erstaunen: 驚かす
  • lügen: (意図的に)うそをつく
  • stolz: 誇らしく思っている、堂々たる
  • anzeien: (役所などへ)届け出る、(書面や新聞広告などで)告げ知らせる
  • schmutzig: 不潔な
  • überreden: (jn. zu et.³)(・・・に・・・するよう)説得する
  • begreifen: 理解する
  • Lüge: うそ
  • nützen: 役に立つ