訳例(直訳)
伯母さん「こんにちは、ディーター!私は君の伯母さんです」
ディーター「おはよう、伯母さん!」
伯母さん「聞いてくれ、明日私はタンスの配置を変えたいんだ。君は私を手伝うことが出来る?」
ディーター「しかしそれは悪い、伯母さん。私は明日時間がない」
伯母さん「まあそれでいいよ、私がすでに大方想像していたことだ。君より年上の伯母さんが君にお願いするとき、君はいつも時間がない。君は明日も去らなければいけないのですか?」
ディーター「いいえ、伯母さん、私は働かなければならないんだ」
伯母さん「だから君は去らなければならない?それでどこに?」
ディーター「どこへも去らないが、明日私は急いで最後まで書かなければいけないものがあります」
伯母さん「ふうん、君は一日中家にいるときに、短い時間快く僕のところに立ち寄ることが出来る」
ディーター「ユルゲンに頼め、( 30 )」
伯母さん「君はいつも無意味なことを言う!ユルゲンは朝早く事務所に行って夜遅くに帰る」
ディーター「そして私も中で夜まで働かなければいけない!」
伯母さん「しかし君は家にいる、ね、そうでしょう?君の場所で彼はきっとタンスのことでお願いをしないでしょう。しかしユルゲンはお金をたくさん出してくれるに違いない!」
ディーター「ユルゲンはそうだろう。しかし私の仕事について少しは理解しろ!明後日私は・・・」
伯母さん「理解?君は私のタンスのことを理解しているのか?」
ディーター「しかし伯母さん、私は家にいるときもほとんど、他の人たちとまったく同じように仕事に時間を費やす。君は私から時間を盗むべきではない」
伯母さん「盗む!!君は私たちが一緒にいる時間をもっと持っている!!」
ディーター「何!?」
伯母さん「まあそれでいいよ。そうでなければ君はそんなに長く私に電話できない」
訳例(意訳)
伯母さん「もしもし、ディーター!伯母さんです」
ディーター「おはよう、伯母さん!」
伯母さん「聞いて、明日洋服タンスを移動させないといけないのね。それで手伝ってもらえないかしら?」
ディーター「ごめんなさい、伯母さん。明日私は時間がないんです」
伯母さん「ああ、そう。予想していたとおりね。年上の伯母さんが何かお願いするとき、貴方はいつも時間がないよね。貴方は明日もどこかへ行かなければいけないの?」
ディーター「どこにも行きませんよ、ただ明日は急いで書き上げなければいけないものがあるんです」
伯母さん「あら、貴方は一日中家にいるのに、ちょっとした時間のために私を平然と無視するのね」
ディーター「ユルゲンにタンスの移動を頼んでください」
伯母さん「いつもつまらないことを言う!ユルゲンは朝早く会社に行って、夜遅くに帰ってくるんですよ」
ディーター「しかし私も夜中まで家で働かなければいけない!」
伯母さん「貴方はいつも家にいるんでしょう?彼が貴方の立場ならきっとタンスのことで頼ませたりしないでしょう。しかしユルゲンはお金をたくさん出してくれるに違いない!」
ディーター「私はユルゲンと一緒です。しかし貴方は少しも私の仕事を理解していない!明後日私は・・・」
伯母さん「理解?貴方は私のタンスのことを理解しているの?」
ディーター「しかし伯母さん、私も他の人と同じように仕事に時間を費やさなければいけないんです。お願いですから私の時間を奪わないでください」
伯母さん「奪う!!貴方は私たちが一緒に過ごす時間をもっと持っています!!」
ディーター「何!?」
伯母さん「そう、そうでなければ貴方私とこんなに長く電話で話せないでしょう」
解説
問1 4 Das habe ich beinahe erwartet.
1. 私はいつも君にそれを期待しています。
2. 私はそれをほとんど理解できない。
3. 私は貴方の言うことを信用できない。:(jm. et.⁴ glauben) (・・・の言うことを)信じる
4. 私はほとんどそれを待っていた。
ドイツ語を理解していれば解ける問題。強いて言うなら下線部は皮肉の言い回しなので、少し理解に悩むかもしれないというくらい。しかしこれくらいの言い回 しは日常会話でいくらでもあることであって、これが理解できない=ドイツ語が理解できていない=センター試験レベルのドイツ語力がないということ。
問2 1 daß er dir den Schrank umstellt
1. 彼がタンスを移動すること
2. 彼がタンスのことで私を手伝うこと
3. 彼がそんなに早く仕事から帰らないこと
4. 彼が一日中家で仕事をしていること
これもドイツ語が読めれば分かる。一応無理やり解釈すれば3も不正解とは言いきれないが、それを選んだらディーターまで伯母さん並の鬼畜になる。仕事がある人の事情を汲んであげてください。
問3 1 彼があなたの立場だったら、きっと頼まれなくてもタンスぐらい動かしてくれるわよ。
下線部の難易度は非常に高い。ただし、選択肢が馬鹿すぎて台無しな問題。下線部は文法的に難しく、しかも訳したとしても言い回しが率直ではないため理解が困難。いわゆる「訳出不能」の文。ただ、訳出不能でも パーツから文意を推測することは出来る。その推測される文意にもっとも近いものを選ぶしかない。どれだけ頑張っても100%完全な正答には至れない問題。 ただ、それだけに真に他国語を理解するために一番重要な力でもある。それだけに良問となり得るのだが、選択肢が間抜け。まず最初の「An deiner Stelle」で、「あなたの場所で」となり、そこに立つのは主語となるer。erに該当するのはこの文脈ではディーターかユルゲンの二人だが、「あなた の立場」を指す「あなた」がディーターである以上、このerはユルゲン。つまりここは「ユルゲンがあなたの場所で」ということになる。ここで正解は1に絞り込める。それ以降の文は本当に訳出することが困難。bitten lassenで「頼ませる」という使役になるわけだが、使役の対象がsichで再起になっていたりと非常に難解。ただ、困難な部分には一切触れることなく問題は解けてしまう。出題者が何を勘が得ているのか疑問だが、とりあえず間抜けだ。
問4 2 Ich muß mein Geld ebenso mühsam verdienen wie Jürgen.
問 3の解答がなければ解答は困難。しかも最悪クラスの悪問。なぜ悪問なのかも明確になるので、解説をしていく。下線部を直訳すると「私はユルゲンと同じで す」となる。問題はこの直訳を求めているのではなく、その訳が何を示しているか、つまり「何がユルゲンと同じか」を問われている。解釈するとユルゲンには 何らかの特性があり、ディーターは「それと同じものを私も持っている」と主張していることになる。首長のためにはその特性が前提として立つのであり、前提 はこの主張より前に語られていなければ会話が成り立たない。従って、該当個所があるのは下線部以前となり、またユルゲンの特性であるためユルゲンについて 語られている部分となる。下線部以前の内容をまとめると、ユルゲンの特性はa) 朝早くから夜遅くまで会社で働いている、b) 頼まれなくてもタンスを移動してくれる、c) お金をいっぱい出してくれる、のどれかとなる。従って解答になり得るディーターの返答はa) 私だって朝から夜まで働いている、b) 私だって頼まれなくてもタンスを移動する、c) 私だってお金をいっぱい出す、のいずれかとなる。さらにディーター既にタンスの移動を断っているので、bは考えにくい。従ってaかcの内容を言うものが解 答となる。
1. 私はユルゲンと同じくらいお金を出します。
2. 私はユルゲンのように同じくらい惜しまずにお金を出すに違いない。
3. 私はユルゲンと同じくらいいい人だ。
4. 私はユルゲンと同じくらい悪い人だ。
こ こで何が悪問なのかが分かる。選択肢が悪すぎる。最適な選択肢がなく、しかもどれも解答になり得る。解説をしようとすればするほどに悪問。とりあえず4は 選択肢から外せるとして、3は選択肢から外せない。またユルゲンの特性はお金をいっぱい出してくれることであるが、1と2はどちらもユルゲンの特性として 申し分ないし、3も文意としてまったく問題ない。公式解答では2となっているが、これを解ける必要は全くない。この問題だけで試験時間80分使い切った人 こそが正解者であり、こういう問題で点を失った人は大学入試センターに文句を言っていい。私は応援する。大学入試センターは一人の人間の人生を左右するようなものなのだから、もう少し考えて問題を作ってほしいものだ。
問5 1 mit meiner Arbeit ganz fertig sein
途 中で途切れた文の内容を予想する。問題だけを考えれば内容はいくらでも想像できる。明後日私は「仕事の締切なんです」「妻が出産予定なんです」「風邪を引 く予定なんです」「新作ゲームの発売日なんです」etc....何でも問題なしだ。ここは選択肢を見てまずなさそうな選択肢を外していく。
1. 私の仕事を完全に終わらせる
2. 会社で深夜まで働く
3. 私の年長の伯母さんの世話をする
4. 貴方のタンスを角に置く
2、3、4の選択肢を口走ったらさすがの伯母さんも電話を切るだろう。ある意味ディーターの取るべき最良の選択肢かもしれない。
問6 4 でなければ私とこんなに長電話していられるはずがないでしょう。
ドイツ語を読めれば分かる。下線部を直訳すれば「そうでないと君はそんなに長く私と電話が出来ません」この直訳と結びつけることが出来るのは4のみ。
問7
(a) 2. Daß er morgen seine ganze Zeit für seine Arbeit braucht.
内容一致問題。ドイツ語が読めれば分かる。問題と選択肢の訳は以下の通りなので上記本文の訳と比較すれば解説は必要ない。間違える理由は「ドイツ語が読めてないだけ」だ。
(a) 何がディーターが明日伯母さんを手伝うことを妨げたか。
1. 彼は明日いつものように会社に行かなければならないから。
2. 彼は明日全ての時間を仕事に費やさなければならないから。
3. 彼は明日ユルゲンの助けを得られないから。
4. 彼は明日ユルゲンを訪ねなければならないから。
(b) 2. Weil Jürgen im Büro arbeitet und erst spät abends nach Hause kommt.
(a)と同じ。解説の必要なし。ただ3も間違ってはいない。
(b) 伯母さんがユルゲンに彼女を手伝うことを頼まなかったのはなぜか。
1. ユルゲンはいつも十分な時間があるにも関わらず、彼女を手伝うのが嫌だったから。
2. ユルゲンは会社で働いて夜遅くに家に帰るから。
3. ユルゲンは朝すぐに旅立って彼女のところに来ないから。
4. ユルゲンはいつも言い訳をして信頼出来ないから。
問8
内容一致問題。内容一致問題はドイツ語が読めて入れば解けるわけで、自分の訳と本ページの訳の食い違いを探せば理由は分かる。点を取ることではなくドイツ語力を上げることを目的としているので、下手な解説は不要。
1. 伯母さんはディーターの時間を盗むという意図で彼に電話をする。
2. ディーターはいつも家にいるので、伯母さんは彼がいつも彼女のために時間を取れると信じている。
3. ディーターは彼女を手伝いたかったが、伯母さんはユルゲンを選ぶ。
4. ディーターは伯母さんのために時間を取ることができるが、彼女を助ける気にならない。
5. ディーターはちょうど明後日には絶対に終わらせなければならない仕事がある。
6. 伯母さんはディーターに、タンスを彼女の部屋から移動してほしいと頼む。
単語・熟語
- Ich bin's. ( =bin es ): それは私です。
- Hör ma! / Hören Sie mal!: (注意を喚起して)ちょっと聞いてくれ(聞いてください)
- Na ja [gut]!: まあそれでいいよ
- Nirgendwohin ( =Nirgendswohin ): どこへも・・・〔し〕ない
- vorbeikommen: (bei jm. <et.³>)(・・・のところに)通りすがりに立ち寄る
- Unsinn reden: たわごとを言う
- nicht wahr: ね、そうでしょう?
- bestimmt: きっと
- zuverässig: 信頼できる
- Absicht: 意図
- unbedingt: 無条件の


